16年11月映画感想とホドロフスキーの虹泥棒

11/15
ウォーム・ボディーズ ★4.5

ウォーム・ボディーズ (字幕版)
ゾンビが人間に一目惚れで恋する
真っ当にゾンビ?映画かつ恋愛映画だった
少し懐かしい音楽や画面の色使いでの心情表現が見事で爽やか
罪悪感を感じながらも元彼の脳を食べて記憶を追い、吐いちゃうシーンが好き
飛行場暮らしも飛行機暮らしも憧れる
お互いに戸惑って探り探りの異種恋愛いいよね…
しかし最終的に敵がゾンビの進化系のガイコツになってしまったのは残念、構成上仕方ないとは思うが
ニコラスホルトは顔色悪い役似合うね
ヒロインが可愛くて芯が通った優しい性格で惚れるのもやむなし

 

11/19
ヌイグルマーZ ★3.0

ヌイグルマーZ
愛する姪を助ける為宇宙からやってきた綿状生物とロリータが合体変身しゾンビを倒し平和を守る!
井口昇というよりもう濃厚に大槻ケンヂという感じで中学時代ハマっていた身としては少し恥ずかしくなる映画だった(悪い意味でなく
中川翔子のダバダバ走りが一生懸命で応援したくなる
中川翔子武田梨奈を存分に使った割りにはチープかつ話もご都合感があるが翔子ちゃんの必死さとすこしアホな勢いのある展開でスッと観れる
ゴスっ子片腕マシンガール、赤ちゃん人間、男装の麗人、死霊の阿波踊り、おっぱいビームと見所満載だ!

ホドロフスキーの虹泥棒 ★3.5

The Rainbow Thief
盗みで暮らす老人が恐らく莫大な遺産を相続するであろう金に執着のない老人を下水道に匿う話
ホドロフスキーにしては大衆エンタメに寄ろうとしたのかというくらい主人公がまともで話も繋がっている
しかし大半の人物はキチガイで会話が成立せず、めちゃくちゃ面白い
まぁエンタメに寄ろうとした説は自論でしか無いが大衆には売れそうにもない
ホドロフスキー入門に見るには魅力にかけるが他の作品を観てからだと面白い
子供にレンガで殴られて死んだ女を通り過ぎに労ったと思ったら、直後に変な骨の歌を歌いながらさる大男が笑った
老人同士の友情物語という筋だが片方が会話が成立せず、ひたすら尊大な奴なので最後の最後まで友情があるのか分からず面白かった、しかも放ってくるパンチが唐突だしガチな奴
フリークスや金かかりすぎ映像、変な衣装、何故か黒くなる、死んだ魚とカモメ、群れをなす動物などのホドロフスキーらしい記号は多い

 

11/23
ロンドンゾンビ紀行 ★4.0

ロンドンゾンビ紀行 [Blu-ray]
おじいちゃん子の孫達がおじいちゃん助けたさに銀行強盗・ゾンビ退治をやりまくる話
適度なコメディと個性豊かなキャラクター達が楽しい、特に老人ズ
想像では老人ズメインかなと思っていたが孫達の話と同時進行してく感じで緩急があってよい
かっこいいおじいちゃんいいよね
ロンドンと名前付くだけあってロンドン味が感じられる
二階建てバスでのゾンビからの逃走いい…
ミッキーのコンテナ暮らしも何だか羨ましかった
欲を言えばおじいちゃんアクションがもっと見たかった
カタナを割りと使って倒してるのは嬉しい

11/27
アイ・アム・レジェンド ★4.0

アイ・アム・レジェンド (字幕版)
一人ぼっちのウィルスミスがゾンビウイルスと戦う
ウィルスミスの優雅なニューヨーク丸ごと一人暮らしは寂しさと楽しさがあって羨まし良い
犬や物を人間かの様に扱い慈しむ事で孤独感を強調させ良い
だが最後の最後で突然ウィルスミスが豪速球で伝説になって振り落とされた
あの展開ならもう個人的には伝説にならなくても良かったし意味ありげなゾンビ的なものへの研究描写の積み重ねが何にもならなくて悲しい
でもそこまでが凄い良かった
首を絞める力を込め続けてそのまま糸が切れた様になるシーンとか好き
衰退の美学をビシビシと感じた
もう駄目なのを主人公はもう分かってたし信じてたけど諦め切れなくて、毎日ルーチンをこなし狂わない様に楽しく過ごすってのがもう最高
ロメロのゾンビだって一番良かったのは終盤でもうまともに出れないショッピングモールなのに優雅にダンスを踊るシーンだ

 

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全然映画観れなくてつらいですね…

ホドロフスキーの虹泥棒はこれ観た直後の感想なのですが

色々考えていたらふわっとした感想がいっぱい出てきたのでまた書きます。

ネタバレを多く含んでいるので観た人は続きへどうぞ。

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作品のコメンタリー等を観た訳では無いのであくまで個人の考察未満の感想になります。

正解不正解というよりこう思いましたって感じなのでゆるく読んで頂ければ。

 

虹泥棒のメッセージ・ストーリー

この映画の主人公のディマとその相方のメレアーグラ、二人の目的は同じで金を得ることである。

これはホーリーマウンテンのうんこ錬金術みたいな感じで、アレは捉え方次第でモノは金にもうんこにもなる的な感じかなとも思ったので、この映画もそうであると考える。

ディマにとっての金はそのままお金で、メレアーグラにとっての金は人の精神に宿る何か。

トレーラー通りそれは友情であり、ディマはストーリーが進むにつれて、その価値を分かり本当の金を得る…はずなのだが本当にこれ友情ものなのか…?という疑問が残る。

メレアーグラの蓄音機ブチ切れパンチは余りにも酷過ぎるし、彼とディマとの会話がキャッチボールした瞬間が無い。

一見しただけでは全く友情の要素が無い、少なくとも主観的には。

しかし、よくよく思い出すとメレアーグラめちゃくちゃディマ好きじゃんとなったのでそこらへんを。

 

メレアーグラはディマのこと好き過ぎ

 まず、洪水の日のシーン。

ディマが遠くに働きに行こうとする間、メレアーグラは暢気にベッドを上にあげて寝ている。

序盤の方の台詞でメレアーグラはディマに「水の流れを読める様になれ」の様なセリフを言っていたので彼は本当はそれは危険行為であることを認識しているはずである。

しかし、彼は逃げることをせず、喧嘩別れした後のディマを待っていた。

これはほぼディマが来なければ自殺するとでも言わんばかりの行為である。

そして満を持して登場したディマに「来ると思っていたよ」とようやく避難開始、重すぎる愛。

執着していた犬を洪水の中で無くしてもディマの説得でスッと諦める。

ラストではディマに先を譲り「俺が勝者だ!」と自死、いい話だな…。

執着していたものよりも友情が大事になった事を示す犬のシーンと似た様なシーンは大男と小男の間でもある。

序盤は小男が子供にぼこぼこにされていても石を見ていた大男は洪水のシーンでその石を捨て小男を助けた。

このシーンとは状況が違うがラストでメレアーグラも剥製にしてずっと肌身離さず一人二人会話を繰り返していた犬を探す危険にディマを付き合わせる訳にはいかないと感じたのだろう。

ディマの最後の自死は彼の元にディマが来てくれた事により、彼が得ることが出来た友情という金を別の形で彼に相続する為に行ったものと考えられる。

それはディマ自身の価値を本人に伝えるということにある。

ディマは盗みで生活していて、自分自身にも諦めていることが多くある様子だったが、彼を見守る仲間は多く居て仕事まで斡旋して貰えている。

そんな彼に彼自身の価値を自分の命以上に大切だと自死を持ってメレアーグラは伝えた。

メレアーグラが最後に勝者だと言ったのは果たせないと思われた金の相続という約束を果たせたからだろう。

 

タロットカードの意味

 メレアーグラの重すぎる愛を認識した後にストーリー冒頭を思い出すと彼の自死をディマは救い、だからこその信頼感と考えられる。

 何故メレアーグラが冒頭で自死しようとしていたと考えるかの根拠は彼が最初タロットカードを捨てながら歩いていた事である。

監督ホドロフスキーは仕事をタロットカードで決めようとして怒られる程のタロット狂である事からこれは何となくでなく意味のあるシーンと考える。

 タロットカードは先の命運を占うものであり、捨てるという行為はそれが必要でなくなった事を表す、よってメレアーグラはそれを捨て歩いた先に死ぬつもりだったと考えても違和感はない。

一度に捨てれば良いものを一枚ずつゆっくりパラパラと捨てていたのは彼なりに助けを求めていたと考えるとそこに現れたディマは彼にとって救世主であったと言えよう。

だからこそメレアーグラは彼の為に簡単に命を投げ打てた。

続いて何故メレアーグラがそんな激重になってしまったか考える。

 

地下での生活

冒頭、メレアーグラの育て親の大富豪の奇人さとその彼がメレアーグラを育てたとの情報の後に大富豪の親戚による遺産相続会議が行われる。
その会議ではどうせ遺産相続人第一候補のメレアーグラは来ないと言わんばかりにメレアーグラの奇人さは精神病に依るもので彼に遺産相続出来る能力は無いということにしようとの話がされる。
そこに実はいてこっそり話を聞いていたメレアーグラは黙って去り、ディマに出会い、地下に潜るという流れだ。
メレアーグラは金に関心がなくある種高潔なキャラクターであるので、育て親の死を目の前にしてこの遺産相続の私利私欲に溢るる話を聞きショックを受けたと考える。
また、奇人というのは治せと言われて治るものでは無い、常日頃感じる自分への世間の目が形になって現れた瞬間と言える。
監督ホドロフスキーも奇人であるのである程度の自己投影があるのでは無いか。
絶望したと思われるメレアーグラに世間の目から逃れられる魅惑の下水道引きこもり生活の誘い、働く必要も無い、最高過ぎる。

また、冒頭の話し合いにメレアーグラは喜んで参加するタイプでは無いのでこの時既に相続先を知っていて伝えに来たのではと思う。

 

メレアーグラの感情の動きを中心に書いたがディマは奇人では無いので彼の行動や表情をそのまま受け取ればメレアーグラを大切に思っていたのは明らかだ。
追加に考えるとすれば人をうまく騙して詐欺まがいの泥棒を繰り返す彼は他の人よりメレアーグラの感情の動きが分かったと考えられる、だからこそ彼はメレアーグラと五年も付き合えた。
自分ならメレアーグラは面倒臭いし鎖で縛っとくと思う…。

 

この様に作品の様々な要素からこの作品は友情モノだと改めて認識出来た。

タイトルに虹がある事やそれらしいモチーフが多いので実はこれはLGBT映画なのではと考えなくも無いが深読みし過ぎかもしれない。


拾いきれない記号も数多くあり、この認識で合っているかも不安なので色んな人のレビューを読んでいきたい。

文書下手なので後日推敲したい…。